美容室の開業融資を受けるための3つの条件とは?今すぐ見直せるポイントを解説
「融資を受けるために必要な条件は?」
「審査や面接に向けてやるべきことはある?」
美容室開業に向けて融資を受けたいと考えるなか、気になるのは「融資を受けるために準備すべきこと」ではないでしょうか。
融資を受けるには、融資元(お金を貸す側)からの審査・面接を通過しなければなりません。
どのような点を意識して臨めばよいのかを知ると、準備すべきことが定まります。
この記事では、融資の審査・面接に向けて押さえておきたい3つの条件と、今すぐ見直せる5つのポイントをまとめました。現時点で足りていない部分、必要な部分を見直すきっかけにぜひご活用ください。
美容室開業に必要な融資はどこで受けられる?
美容室を開業するには、800万~1,500万円の資金が必要と言われています。
多額の資金を得られる可能性のある「融資」は、資金調達方法としてとても重要です。
創業融資(開業時の融資)の申し込み先には、以下の3つがあります。
・日本政策金融公庫
・各自治体の制度融資
・民間の金融機関
なかでも特に注目したいのが、日本政策金融公庫です。
その理由もふまえながら、それぞれの概要を見ていきましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、政府が100%出資する政策金融機関です。
創業時もしくは創業して間もない時期でも受けられる融資を扱っており、融資を受けるハードルがぐんと下がります。
創業融資を受けるなら、必ず候補に入れたい融資元です。
▼ 融資の例(新創業融資制度)
・対象者:新たに事業を始める方、税務申告を2期終えていない方
・自己資金の要件:創業資金総額の10分の1以上と少額
・担保・保証人:原則不要
出典:日本政策金融公庫公式より
民間の金融機関では、事業の実績がないと融資を受けるのは難しく、条件も厳しい傾向です。
その点、日本政策金融公庫は、融資の条件をゆるくして事業を始めやすくサポートしてくれます。融資の受付から融資実行までの期間が約1ヶ月、と早いのも魅力的です。
融資を受けるには、審査が必要になります。
美容室開業を考えている方は、日本政策金融公庫から融資を受けるための準備を重点的にするとよいでしょう。
各自治体の制度融資
創業融資の申し込み先の1つとして、都道府県や市町村などの各自治体が独自に扱う「制度融資」があります。
中小企業や個人事業主などが、金融機関から融資を受けやすくするための制度です。
融資の窓口・審査は自治体、融資の申し込み先は指定の金融機関、保証人は信用保証協会と、3つの期間が運営しています。
▼ 制度融資の特徴
✔民間の金融機関と比べてハードルが低い
✔長期間、低金利で借りられる
✔信用保証協会への保証料が必要
✔融資受付から実行まで3ヶ月
民間の金融機関と比べて審査のハードルが低く、長期間・低金利で借りられます。
信用保証協会への保証料が必要になりますが、返済に余裕ができるので、条件が合えば候補に入れたい融資元です。
自治体、金融機関、信用保証協会と手続きが複雑になるため、利用する際は、スケジュールに十分な余裕を持って申し込みましょう。
民間の金融機関
銀行などの民間の金融機関から融資を受ける方法には、以下の3つがあります。
・日本政策金融公庫との連携(協調融資)
・信用保証協会との連携(保証付き融資)
・金融機関から直接(プロパー融資)
協調融資は、日本政策金融公庫だけで融資を行うのは難しいと判断されたときに考えるとよいでしょう。
日本政策金融公庫が、民間の金融機関を紹介してくれる場合もあります。
保証付き融資は保証料が必要、保証人が必要、事業実績が必要と、審査のハードルが高くなります。
プロパー融資は、創業融資には使えません。
金融機関によっては、創業融資に力を入れているところもあります。
また、「女性」「年齢が若い」など条件付きの融資を扱っている金融機関もありますので、選択肢の1つとして情報を得ておくと安心です。
美容室開業の融資を受けるために必要な3つの条件
美容室開業に向けて融資を受けるためには、融資元の担当者との面接を経て、審査を通過しなければいけません。
そこで必要なのが、審査・面接のための事前準備です。
しっかりとした事前準備が、融資獲得のカギとなります。
どのような点を意識して準備すればよいのか、融資を受けるために必要な条件として以下の3つを解説します。
1.創業の意思が明確であること
2.実現可能な事業計画書か
3.返済能力はあるか
どこかあいまいな意思や事業計画では、融資獲得にこぎつけるのは難しいです。
融資元が「融資したい!」と思える態度でのぞめるよう、しっかり準備しましょう。
01 創業の意思が明確であること
どうして美容室を開業しようと思ったのか、自分の言葉でしっかり伝えられますか?
明確な創業の意思(動機)と情熱を、事業計画書や面接を通して伝えることが大切です。
面接では、創業の意思について
・思いつきではないか
・時期尚早ではないか(計画的か)
・家族の理解は得られているか
など、不安な点はないか質問をされることがあります。
堂々とした態度は、美容室を開業するのにふさわしい経営者として信頼性のアピールにもつながります。
どのような質問にもしっかり応えられるように、創業の意思を明確にしておきましょう。
02 実現可能な創業計画書か
融資を申し込む際に、事業計画書(日本政策金融公庫は創業計画書)の提出を求められます。
事業計画書とは、事業についてのアイデアや戦略、将来的な見通しを具体的に説明する文書です。
▼ 事業計画書の主な内容
・創業の動機経営者の略歴(経験年数や実績)
・取扱い商品やサービス(事業内容)
・必要な資金と調達方法(資金計画)
・事業の見通し(売上高等の試算)など
事業計画書は、具体的な根拠を元に実現できる計画であるかを見極める材料になります。
美容業界を取り巻く環境や将来性などを調べ、事業計画を裏づける情報を得ることも重要です。
もし事業計画に無理が・あると、トラブルの際に柔軟に対応できず経営が困難になる恐れがあります。
融資元からすれば、返済が滞ってしまう危険性は先に回避しておきたいものです。美容室を開業しようと思い立ったその時から、 経験を積み、必要な情報を集めながら、計画的に準備を進めましょう。
03 返済能力はあるか
融資元からすれば、 返済能力のない人にお金は貸せません。
そのため、審査・面接を通して、返済能力があるかを慎重にチェックします。
✔事前に用意できる自己資金はあるか
✔信用情報に傷はついていないか
✔借金に依存した資金計画になっていないか
など、お金の管理について不安要素はありませんか?
美容室を開業するということは、経営者としての資質も求められます。
日頃からお金の管理をしっかり行い、不安要素を失くせるように努めましょう。
融資の審査基準は将来性!今すぐ見直せる5つのポイント
融資を受けるためには、具体的な事業計画書の作成や面接の練習など、事前準備が必要です。
と同時に、いま現在足りない部分を知り、改善していかなければなりません。
今すぐ見直せるポイントとして、以下の5つを解説します。
1.自己資金を少しでも多く増やす
2.各種支払いを遅れることなく行う
3.技術力向上や店舗運営のノウハウを得る
4.事業計画書(創業計画書)の内容を詰める
5.面接で印象良くアピールするための準備
融資の申し込みをすぐにできないとしても、美容室開業という夢を実現するためにできることはいろいろあります。諦めずに、1つずつクリアしていきましょう。
01 自己資金を少しでも多く増やす
融資を受けるには、自己資金の要件を満たさなければいけません。
たとえば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、以下のように定められています。
▼ 自己資金の要件
創業資金総額の 10 分の 1 以上の自己資金を確認できること等の一定の要件に該当すること
(例:創業にかかる総額が1,000万円なら、最低でも100万円は必要)
※「創業の手引き+」より抜粋
自己資金が少なくても申し込みはできますが、実際には3分の1~5分の1を用意しておくと安心と言われています。
美容室開業に向けて、コツコツと貯めてきた熱意や本気度を示しましょう。
自己資金として手元に多くお金を残しておくことは、安定的な資金繰りにもつながります。
借入金が多いほど、月々の返済に苦しむ恐れがあるため、自己資金については融資元が特に気になるポイントです。
自己資金が少ない、または目標額に届いていない方は、コツコツと貯めることから始めましょう。
02 各種支払いを遅れることなく行う
返済能力の有無を判断する材料として、公共料金、家賃、住宅ローンなどの支払い状況を確認される場合があります。
融資先として認めていいものか、信用力を問われるのです。
以下について、気になるものはありませんか?
✔過去5年以内に債務整理をしたことはない
✔過去2年、消費者金融からの借り入れはない
✔過去2年、クレジットカードのキャッシングをしていない
✔毎月滞りなく支払いを済ませている
もし心配であれば、個人の信用情報を専門機関(CIC,JICCなど)で確認できます。経営者としての自覚を持ち、日々の支払いからお金の管理を意識的に行いましょう。
03 技術力向上や店舗運営のノウハウを得る
美容室の開業において、それまでに得た技術や経験はとても重要です。
美容師経験のない素人に融資をするのは、融資元にとってリスクとなり避けられます。
美容室での勤務年数や経験年数、固定客の数などの実績は、事業計画の裏づけとしてアピールできるポイントです。また、
・店長など管理職の経験がある
・店舗運営のノウハウが身に付いている
・経験に基づいたサービスの提供ができる
など、経験や技術力をふまえたアピールポイントは武器になります。美容室開業を目指すなら、美容師または経営者として、積極的に自分を磨くことが大切です。
04 事業計画書(創業計画書)の内容を詰める
融資元に提出する資料として、特に重要な「事業計画書」。
融資審査における面接では、事業計画書に書かれた内容を元に質問されます。
・美容師としてどのような経験を積んだか
・美容業界は今後どのようになっていくと考えているか
・専門的な内容につき、わかりやすく説明してほしい
・美容室のセールスポイント、競合他社との違いは何か
・経費をもっと圧縮できないか
・記載された数字の根拠はどのようなものか
など、事業計画書の内容をさらに深掘り、何を根拠に記載されたものなのか不明点があれば指摘を受けます。
綿密な事業計画書を作るには、店舗の仮押さえ、仕入れ先の確保など、より具体的に準備を進めなければなりません。
美容室開業の具体的なイメージを持って、根気強く準備する必要があります。
事業計画書の作成は、融資においてとても重要です。
実績のある専門機関に相談して、1つずつ内容を詰めることで自信を持って前へ進めるでしょう。
05 面接で印象良くアピールするための準備
融資審査における面接は、融資元である日本政策金融公庫や金融機関などに「融資しても大丈夫」と思ってもらえるよう、アピールする場所です。
常に多くの事業者を相手にしている先方に対し、限られた時間で美容室開業への想いを伝えなければなりません。
質問を想定し、しっかり準備をしてから面接に挑みましょう。
▼当日のポイント
清潔感のある服装
情熱のある堂々とした態度
信頼できる人柄
面接に向けて身なりを整え、自分の言葉でしっかりと受け答えをすることが大切です。
不安な方は、的確なアドバイスをしてくれる実績のある専門機関に頼ってはいかがでしょうか。
しっかり準備して美容室開業に必要な融資を得よう
美容室を長く経営するためには、資金の確保が何より欠かせません。創業時には、事業実績がなくても借りられる創業融資を活用して、運転資金を確保しましょう。
この記事では、美容室開業に向けて、融資を受けるための条件や見直しポイントを解説しました。自信を持って、融資の申し込みができるようになったでしょうか?
▼ 融資を受けるための条件
1.創業の意思が明確であること
2.実現可能な事業計画書か
3.返済能力はあるか
融資元からすれば、将来性のある事業者をサポートしたいものです。美容師としての経験や実力があっても、面接時にアピールできなれば審査の通過は難しくなります。
もし、事業計画書の作成や面接練習などの事前準備に不安があるなら、実績のある専門機関に相談するのがおすすめです。1人で抱え込まず、頼れる人に頼って融資獲得に向けて備えましょう。